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釜ヶ崎の簡易宿泊所と周辺アメニティに関する調査

2016年07月31日

釜ヶ崎は古くから日雇い労働者の街として栄え、低価格の簡易宿泊所が多い。今この街に、未曾有のインバウンドによってはじき出された外国人観光客が押し寄せている。客室は一室約3畳でトイレと浴場は共同であり、中には浴場がない施設もある。周辺に数多く存在する宿泊の機能を補完する特徴的な店や施設、フリースペースの利用を生んでいる。その結果、街全体として普通のホテル以上に自由で多様なサービスを受けることができている。この街特有の都市依存型の宿泊形態は、駅とホテルを往復するだけの画一化した宿泊施設が主流である現状から見ると魅力的であると言える。

簡易宿所の出入り円盤グラフ
実際に宿泊した簡易宿泊所の窓から見える他の簡易宿泊所の24時間定点観測を行い、15分ごとに宿泊者が簡易宿泊所からどちらの方向に出て行ったか、またどちらの方向からやってくるのかを調査し、円盤グラフで表した。下端が0時~0時14分、上端が23時45分~23時59分の出入りの数を示している。実際に調査を行った簡易宿泊所については出入りの方向に向けて円盤の中心を偏心させた。また持ち物と服装も記録することで、バックパッカーと住民を判別した。調査の結果、バックパッカー向けの宿が多い東側のエリアでは釜ヶ崎の街に背けるように円盤が駅に向かって偏心しており、宿泊者数中に占めるバックパッカーの割合は90パーセントを超えていた。一方、西側のエリアは円盤の偏心の方向がバラバラであり、日雇い労働者と長期滞在者の割合は宿泊者の90パーセントを超えていた。

アメニティ波状グラフ
簡易宿泊所の機能を補完する特徴的な店や施設、例えば、居酒屋、食事処、娯楽施設、銭湯などを“アメニティ施設”と定義する。このアメニティ施設の営業時間の長さとキャパシティを調査し、波状グラフで表した。波の高さはアメニティ施設の店舗面積に比例しており、幅は営業時間の長さに比例している。東西の波状グラフを比べるとキャパシティに関しては大きな差はないが、営業時間に関しては差異が見られた。東側のエリアは営業時間が短く、昼から夜にかけて営業する施設が多く、西側は営業時間が長く、早朝から深夜まで営業する施設が多かった。

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